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時間許せば漕ぎ上がりたい

時間許せば漕ぎ上がりたい

ここから2kmほど上流に架かる小さな橋から、一年前、猿ヶ石川を眺めていた。夕暮れに大きな荷物背負って。雨の中、じっと川を見下ろす男を不審に思ったのだろう、おばさんに「どうしたの?」と声を掛けられたのだった。遠ざかりながら何度も心配そうに振り返ってこちらを見ていたその姿を思い出した。まだカヌーを始めようとさえ思っていなかった時のこと。